期待値と生存関数の積分

確率変数\(T \ge 0\)を寿命を表す連続型の確率変数とし、その累積分布関数を\(F(t)=P(T \le t) \)、生存関数を\(S(t)=P(T>t)=1-F(t)\)、確率密度関数を\( f(t) = \frac{d}{dt} F(t) \)とする。

\(E[T] < \infty\)とするとき\(T\)の期待値\(E[T]\)は、
\[
E[T] = \int_0^{\infty} S(t) dt
\]
となる。

これは次のようにして示せる。
まず、\( \frac{d}{dt} S(t) = – f(t) \)となるので部分積分法より
\begin{align*}
E[T] &= \int_0^{\infty} t f(t) dt = \int_0^{\infty} (-t) (-f(t)) dt
\\
&= \int_0^{\infty} (-t) \{S(t)\}’ dt = [-t S(t)]_0^{\infty} + \int_0^{\infty} S(t) dt
\end{align*}
とできる。
ここで、\( \lim_{t \to \infty} t S(t) = 0\)となることを示す。これは、
\begin{align*}
t S(t) = t \int_t^{\infty} f(x) dx = \int_t^{\infty} t f(x) dx
&\le
\int_t^{\infty} x f(x) dx
\\
&= \int_0^{\infty} x f(x) dx – \int_0^t x f(x) dx
\to E[T] – E[T] = 0
\end{align*}
となる。また$t>0$、$S(t) > 0$となるので、$t S(t) > 0$となる。
これらより、はさみうちの原理によって、\( \lim_{t \to \infty} t S(t) = 0\)となる。
よって、
\begin{align*}
E[T] &= [-t S(t)]_0^{\infty} + \int_0^{\infty} S(t) dt = \int_0^{\infty} S(t) dt
\end{align*}